食物アレルギーとは、身体の免疫系が食物に対して異常な炎症反応を起こしたときに起こります。ほとんどのアレルギー反応は軽度ですが、重篤になることもあり、命にかかわることもあります。
食物アレルギーの一般的な症状としては、口のかゆみ、舌の腫れ、じんましんや皮膚の発疹、涙目、鼻水、嘔吐、下痢、および喉の締め付けが挙げられます。最も深刻なケースでは、化学物質が放出され、体がショック状態に陥るアナフィラキシーを引き起こす可能性もあります。
食物アレルギーの発症時期は?
調査によると、日本全人口の1~2%(乳児に限定すると約10%)の方々が何らかの食物アレルギーを持っているものと考えられています。
米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、なぜある人が他の人より食物アレルギーを発症しやすいのかの調査で、遺伝、家族歴、年齢などがアレルギーの発症に関与していると考えられています。幼い子どもは、年配の子どもや大人に比べて、食物アレルギーを発症しやすいと言われています。
子どものアレルギーはよくあることですが、研究によりと、多くの子どもが思春期や成人期になると食物アレルギーを治すことが示唆されています。[1]
一般的な8種類の食物アレルギー
最も一般的な食物アレルギーには、以下のようなものがあります。
1:ピーナッツ
ピーナッツは、ナッツ類の一部として言及されることが多いものの、実際には豆類であり、木の実とは異なります。NIAIDによると、2010年の全国調査では、アメリカの子どもの約2%がピーナッツアレルギーであることがわかりました。
ピーナッツアレルギーは、米国における食物によるアナフィラキシーによる死亡原因の第1位です。日本では、食物アレルギーによるアナフィラキシーでの死亡率は,0~19歳の患者10万当たり3.25人と推計されています。
最近の研究では、ピーナッツの摂取を早期に開始するほど、重篤なアレルギーになる可能性が低くなることが示されています。従って、最新のガイダンスでは、お子様の食事に早期にピーナッツを取り入れることを推奨しています。
2:牛乳
米国アレルギー免疫学会によると、3歳未満のお子様の2%~3%が牛乳アレルギーを有しているとされています。約80%のお子様は、16歳までにこのアレルギーを治すことができます。牛乳アレルギーは通常、じんましん、胃のむかつき、嘔吐、血便、そして時にはアナフィラキシーを引き起こします。
牛乳アレルギーのお子様は、あらゆる形態の牛乳を避けなければなりません。これには、すべての牛乳および乳製品、ならびに「ラクトースフリー」乳製品も含まれます。また、ミルクチョコレートのような、ミルク成分を含む食品も避ける必要があります。
3:卵
卵アレルギーを持つ子どもは全体の約2%ですが、そのうちの70%近くは16歳までに治るといわれています。卵アレルギーの症状は、軽い発疹からアナフィラキシーまで、多岐にわたります。
卵アレルギーの方は、卵を含むすべての製品、および卵を使用したワクチンも避ける必要があります。
4:魚類
魚アレルギーは、大人になってから発症することが多いですが、必ずしもすべての魚に発症するわけではありません。魚アレルギーを持つ人は、マグロ、オヒョウ、サーモンに反応することがありますが、カニ、エビ、ロブスターなどの甲殻類には反応しません。
症状は軽度から重度まで様々です。避けるべき魚の種類については、アレルギー専門医にご相談ください。
5:貝類
貝類アレルギーは、通常、エビ、ロブスター、およびカニに限定され、成人の間でかなり一般的で、約3割程度の人が罹患していると言われています。貝類アレルギーを持つ人の多くは、軟体動物(ホタテ、カキ、アサリ、ムール貝)を安全に食べることができますが、他の種類の貝類を食べる前に、アレルギー専門医の相談をおすすめします。
レストランやスーパーでは、貝類と魚類が一緒に保管されていることが多いため、二次汚染の可能性があります。貝類に対するアレルギー反応は、皮膚の発疹、呼吸器の変化、胃腸の問題、さらには心血管系イベントの原因となることがあります。
貝類アレルギーは、成人になってから発症することが最も一般的ですが、年齢に関係なく発症する可能性もあります。
6:木の実
木の実は、ピーナッツとは異なり、クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーカン、カシューナッツ、ピスタチオなどが含まれます。木の実のアレルギーは、子どもから大人まで、最もよく見られるもののひとつです。また、アナフィラキシーに至るケースも多く、非常に重篤なアレルギーです。
7:小麦
小麦アレルギーは小児に多くみられますが、12歳までに約3分の2の小児が克服しています。小麦アレルギーは通常軽度ですが、中には重症化するケースもあります。
小麦アレルギーを持つ人の多くは、他の穀物に耐えることができますが、個人差があります。小麦アレルギーは、喘息や湿疹の既往歴のある家系に多くみられます。
8:大豆
大豆アレルギーは、皮膚発疹、消化管障害、心血管症状など、症状が多岐にわたるため、診断が困難な場合が多くあります。大豆反応のある人は、それぞれの反応に対して異なる症状を示すことがあります。
食物アレルギーの対策
食物アレルギーをお持ちの方は、以下のガイドラインに従って、安全な食生活をお送りましょう。
1:食品ラベルを読む
卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そばの7品目は、容器包装された加工食品で食物アレルギー表示が義務づけられているので、ラベルをよく確認しましょう。
2:特定のナッツを認識する
ナッツ類は種類が多いので、殻付き、殻なしを区別し、名称を確認しましょう。グラノーラバーなど、ナッツをよく使う食品の種類を覚え、ラベルを読んで、同じ施設で加工されたナッツによる二次汚染がないかを確認しましょう。
3:店頭に確認する
外食の際は、必ずアレルギーの有無を伝えましょう。食物アレルギーが深刻な場合は、分離面の必要性についてレストラン側に教育する必要があるかもしれません。事前に電話をして、施設があなたのニーズに対応できることを確認してください。
4:エピネフリンペンを常に携帯する
アレルギー専門医は、アレルギーの診断後、エピネフリンペンを処方します。これは、アナフィラキシーに対する最初の防衛線です。ペンの有効期限をメモし、期限が切れる前に処方箋を補充するようにしてください。